構造 計算 風 荷重

構造物にかかる風荷重は、風圧力(N/u)に受圧面積を掛けて

 

各層の風圧力の合計を出します。

 

風圧力のかけ方は、地震力と同じで、横から各階の床部分にかけます。

 

 

 

 

 

風圧力×受圧面積を床にかけます。

 

図の場合、3階部分の受圧面積が小さいので、荷重も小さくなります。

 

風荷重を式で書くと?

 

各階の風荷重を式で書くと下記のようになります。

 

3階の風荷重 = 風圧力 × A3(u)

 

2階の風荷重 = 風圧力 × A2(u)

 

1階の風荷重 = 風圧力 × A1(u)

 

 

そもそも 風圧力とは?

 

前述した、風荷重 = 風圧力 × 受圧面積(u)の風圧力というのは、

 

そもそもどうやって出すのでしょうか?

 

風圧力とは、風によって建築物が受ける圧力の事です。

 

 

ですから当然、風のスピードが関係しますし、風のスピードが早ければ風圧力は上がります。

 

同じスピードでも手前に障害物が有れば、風圧力は低くなります。

 

こうした事を勘案し、風の速度と障害物の有無などを係数にした速度圧(q )と

 

風が当たる建物の部位や形状などを係数かした、風力係数(Cf )を掛けて

 

風圧力を出します。

 

 

式で書くとこうなります。

 

風圧力 = 速度圧(q )×風力係数(Cf )

 

 

この式を、風荷重との関係で見ると、こうなります。

 

 

 

速度圧(q )について

 

 

速度圧は、読んで字のごとく、風の速度の事です。

 

風の速度に影響を及ぼすものを勘案し求められる数値です。

 

具体的には、樹木など障害物の有無や、建築物の高さにによって、

 

速度圧(q )を軽減したり、割り増ししたりします。

 

 

速度圧を求める式はこうなります。

 

 

 

 

この式を解読しますと下記のようになります。

 

 

 

風圧力は空気の運動エネルギーによって生じます。

 

質量をm、速度v とすると…

 

 

 

 

 

そして、これを、前述している風荷重、風圧力、速度圧の関係で見ますと…

 

 

となります。

 

 

高さと周辺環境で決まるEについて

 

 

 

速度圧の式で出てくるは、建築物の屋根高さと周辺地形の状況によって、

 

掲げる係数です。

 

そして、風速の高さ方向の分布を示す係数をEr

 

風の流れによる建築物への影響を表す下のがガスト影響係数(Gf )と言います。

 

は、この2つの係数を1つにしたものです。

 

逆に言いますと、ErGfから求められる訳です。

 

式にすると、下記のようになります。

 

 

 

Erとは

 

Er は地表粗度区分と建物高さによって決まる係数です。

 

地表面粗度区分とは、風圧力計算を行う際のパラメーターの一つです。
(平成12年建設省告示1454号)

 

これは、その名の通り、地表面の粗さの度合いを区分けしたものです。

 

 

「地表面粗度区分」はT〜Wの4段階に区分けされており、

 

簡単にいえば、粗度区分の数字が上がるにつれ、

 

風を遮るような障害物の多い地域という事です。

 

 

 

ざっくり言うと・・・

 

区分T:海岸に近い場所,及び海上

 

区分U:高さが数mから10m程度の障害物が散在している地域

 

区分V:高さが数mから10m程度の障害物が密集している、
    あるいは中層建築物(4〜9階)が散在している地域
    ※ほとんどの地域はこれに該当すると思います。

 

区分W:中層建築物(4〜9階)が主となる地域

 

Erの大きさはT>U>V>Wとなります。

 

 

そして地表面粗度の条件によって変化するZb , Zg , αという係数があります。

 

これは数学的に近似解析したら必要になった、単なる係数です。

 

ですから深く考えず、区分の違いによって変わる係数と認識しましょう。

 

速度圧の高さ方向分布係数

 

    Zb、Zg地表面粗度区分に応じた高さ[m]

 

    α地表面粗度区分に応じた係数

 

    H建築物の最高高さと軒の高さとの平均

 

 

H≦Zb Er=1.7(Zb/Zg)^α

 

H>Zb Er=1.7(H/Zg)^α

 

 

 

Zb Zg α
T 5 250 0.1
U 5 350 0.15
V 5 450 0.2
W 10 550 0.27

 

 

ガスト影響係数Gfとは

 

ガスト影響係数のガストとは、『突風』つまり『ビル風』の事です。

 

時よりふく最大の風(突風)が、平均風速の何倍かを表した値の事です。

 

瞬間的にふく風を考慮に入れ風荷重を考えるための係数です。

 

 

 

H≦10m 10m<H<40m 40m≦H

T

2.0

左右の直線補間数値

1.8

U

2.2

左右の直線補間数値

2.0

V

2.5

左右の直線補間数値

2.1

W

3.1

左右の直線補間数値

2.3

 

 

ガスト影響係数は一般に、建築物の高さと軒の高さとの平均に比例して大きくなります。

 

ですから平坦で障害物がない区域に比べ、高層建築物の多い区域の方が、

 

大きくなります。

 

T<U<V<Wとなります。

 

 

 

 

構造計算風荷重まとめ

 

以上の事から構造計算で風荷重を計算するときは、

 

風速、表面粗度区分、ガスト影響係数から速度圧を出し

 

その速度圧に風力係数を掛けて風圧力を出します。

 

出てきた風圧力に受圧面積を掛けて風荷重を算定していきます。

 

 

 

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